こんばんは、シドニーマンです。
今回はシドニーの現状と高時給についてです。
今もレストランの現場で働いている私自身の経験や感じたこと、多くの知り合いも様々なレストランで働いていてその人たちから聞いた事や見てきたことなどをまとめました。
正直高時給だからと言っていい事ばかりではありません。惑わされないようにしてください。
高時給になった背景
ここで高時給についてまとめてみました。
なんでもそうですが急に高時給にはなりません。何事にも背景があります。
2020年3月新型コロナウイルスの影響でシドニーがあるニューサウスウェールズ州(NSW)は1回目のロックダウンを行いました。このロックダウンを行った事で生活が一変しました。この頃にはコロナによる被害は世界中に広がっていました。シドニーでワーキングホリデー生活を満喫しようとか留学しているので勉学に勤しむという訳には行きません。もう世の中がこうなると帰国を考える人々が出てきてもおかしくありません。なので当然の事ならが多くの人々は帰国していきました。こちらに残っている人々は仕事もままならない状況になり生活すら危ぶまれる状況になりました。州政府として、Jobkeeper、JobseekerまたDisaster Payment等のコロナ救済措置を発表しニューサウスウェールズ州住民を救うべく奔走してくれました。ロックダウン期間中は鎖国していたので一般の人々はオーストラリアから出ることは出来ても入国出来ませんでした。

ここがポイントでこの時期から多くの人々が日々帰国していったのです。これが今でも飲食業界のみならずどの業界にも響いている人手不足の始まりです。
そして2022年2月21日(月曜日)から一般の人々もコロナワクチン接種終了、入国してもPCR 検査、RAT 検査等を受け陰性証明する等の条件を満たしていれば入国出来るようになりました。この日から人々がオーストラリアに入国して来るようになりました。(実は2021年12月中旬頃には鎖国は解かれていたのですが時期が時期です。年の瀬です。人々はそれどころではありませんでした。)
2020年3月から始まっていたコロナ対策としての鎖国は2022年2月まで続いていたのです。その間人々はドンドン帰国して行ったのです。
人手不足になりました。そうなると同じ働くにしても条件の良いところで働こうとするものです。時給がドンドン上がっていったのです。
どの業界も人手不足
2020年3月に最初のロックダウンが行われ、それが解かれてもコロナ規制で外出すら制限が掛かっていた2020年。その中人々は帰国していきました。鎖国は解かれていません。この頃は仕事に行くのもカナリ気を使っていました。だって相手はコロナ、細菌です。見ることできませんから。こうなると少ないスタッフで現場はやりくりするしかありません。当然求人募集を行いますが良い反応が帰ってきません。

飲食業界では
ここからは飲食業界での状況です。
コロナ禍であったときはソーシャルディスタンス、QRコードの確認や入店人数制限等のコロナ規制があったので少ないスタッフでも何とか業務をこなせていました。コロナ規制のおかげである意味何とかなったのです。
2020年12月にはシドニー北部ノーザンビーチエリアがロックダウン。翌年(2021年)になって6月、7月、8月とシドニーがあるニューサウスウェールズ州は再びロックダウンを行いました。その中、ニューサウスウェールズ州政府は2021年10月中旬頃までにコロナワクチン2回接種した人々には規制緩和を発表しました。これによりニューサウスウェールズ州内コロナワクチン2回目接種者の数が州人口の94%近くまで上がりました。これに伴い状況が少しづつ変わってきました。
こうなると外食が規制無しで出来るようになりました。もうワクチン接種証明証の提示やQRコードを読み取らなければならないことも無いのです。
ですが飲食店の現場は少ないスタッフのままです。
規制が緩和され外食ができるようになったからといって都合よくスタッフは集まりません。この時期(2021年10月中旬頃)はまだ鎖国中なのです。(鎖国が解かれるのはこの時期から数ヶ月後の2021年12月中旬頃。そして一般の人々が入国してきたのが2022年2月下旬頃)

経営者側も考えます。
鎖国が解かれ多くの人々が入国してきても思うようにスタッフが集まらないのが現状。そうなると新規スタッフを呼ぶためや今居る慣れているスタッフをつなぎ止めておく為には時給をあげるしかないのです。実際上がっていきました。
2021年10月下旬頃には$22ドル以上になり2022年後半になると$25ドル以上の所が多くなりました。1年で$3ドルも上がっているんです。(3ドルといってピンと来ないかもしれませんが、1ドル=90円としたら時給270円アップです。ちなみに法律では2022年7月1日より最低賃金21.38ドルなので法律以上の金額を払っています。)ただし時給を上げても経営が苦しくなるとお店は潰れます。誰だってそんなことはしたくないです。なので経営者側も時給を上げても困らない方法を考えます。
時給を上げても困らない方法
時給を上げても困らない方法はいくつかあります。
- その時働いてもらうスタッフの数を少なくする。
- システムを使う。
- フードデリバリーサービスを使う
その時働いてもらうスタッフの数を少なくする
そうです。その時働くスタッフの数を少なくすれば良いのです。
例えば、レストランでキッチン4人、ホール4人合計8人で営業していたとします。(ここではわかりやすい時給で20ドルとします。)
1人当たり8時間働くとして、その日の日給は、
時給20ドルX 8時間=160ドル(1人分の日給)
キッチン4人、ホール4人計8人働いているので、160ドルX8人分=1240ドル(一日分の人件費)
それをキッチン3人、ホール3人にした場合、同じ時給として1人当たり8時間働くとして、その日の日給は、
時給20ドルX 8時間=160ドル(1人分の日給)、ここは同じです。
キッチン3人、ホール3人計6人働いているので、160ドルX6人分=960ドル(一日分の人件費)
2人少なくなれば、1240ドル-960ドル=280ドル少なくなります。
キッチン3人、ホール3人の時給をそれぞれ25ドルとした場合、
時給25ドルX 8時間=200ドル(1人分の日給)、ここは多いんです。
キッチン3人、ホール3人計6人働いているので、200ドルX6人分=1200ドル(一日分の人件費)
8人で営業していく場合と6人で営業していく場合で1人当たりの時給20ドル(8人で営業)と1人当たりの時給25ドル(6人で営業)の合計金額を比べると、
8人で営業 1240ドル(時給20ドル)
6人で営業 1200ドル(時給25ドル)
働く人数を2人少なくするだけで時給を5ドル上げてもまだ一日の人件費が40ドル少なくなります。
と言っても少ないスタッフです。業務の流れを変えたり、作業の合理化を行わなければ以前のような営業を行うことが出来ないのが欠点です。
システムを使う
次に現場に新たなシステムの導入です。
レストランやカフェでオーダーをする際、基本ホールスタッフがオーダーを取りに来ます。この仕事をシステムに行ってもらうのです。
私が行ったチャッツウッドにある新上海(New Shanghai restaurant)でもこのシステムを導入していました。

このお店は各テーブルにQRコードを設置してそれをお客様自らの携帯電話で読み込ませ、そこからオーダーしてもらう形です。
なのでオーダーはお客様自身で行う。ホールスタッフはオーダーされたものをテーブルを間違えずに配膳するだけです。
この方法は席数が多いレストランになればなるほど効果を発揮します。なぜなら、席数が多いと同じ時間にお客様はオーダーしてきます。そのオーダーされるテーブルの数をカバーするにはそれに対応できるだけのホールスタッフが必要です。席数が多ければ多いほどこの時必要とされるホールスタッフの数は多くなります。ですがそのオーダーすることをお客様自ら行うのです。そうなるとこのとき必要とされるホールスタッフの数は少なくて済みます。
私も新上海(New Shanghai)に行った際、自分の携帯電話にこのお店のテーブルに置いてあるQRコードを読み取らせそこからオーダーしました。
フードデリバリーサービスを使う
今やウーバーイーツやメニューログの様にオンラインを使いオーダーしてくることはもう普通です。
いわゆるフードデリバリーサービスです。
これらをうまく活用していくのです。このフードデリバリーサービス側からオーダーが来れば、持ち帰り用にオーダーをパックするだけでよいのです。なのでホールスタッフの数はほとんど関係ありません。
先のもあった新上海(New Shanghai restaurant)。ここはフードデリバリーサービス数か所と契約していたので、店内にお客様の姿が少なくとも、オンラインからのオーダーがあるので、キッチンスタッフは止まることなく料理を作っていました。
レストランによって様々ですが、このどれかの方法を使っているところもあれば、全て使っているところもあります。
こういった工夫を行うことで時給を上げても耐えて行けるのです。

適性大事
では少なく人数で業務を行うには何が大事でしょうか?
それは、適性です。
合わない仕事をすれば、ストレスも溜まりますし職場の人間関係も悪くなります。
そうはいっても高時給。合わないのが分かっていてもその仕事を選ぶ人たちは出てきます。
高時給に目が眩むと
高時給だから稼げると思っている人は当然多いと思います。
だけど上記の様に少ない人数で営業しているレストランやシステムを導入しているレストランが殆どです。そして売り上げだけ見ればコロナ以前に近い売上を出しているレストランが殆どです。なので実は思っている以上に重労働なのです。
そこに適性が絡みます。
合わない仕事をすればそこに歪みやストレスが生まれます。それらを我慢してまで行う仕事かどうかは本人の判断に委ねますが、ですがそのような人たちは現場監督である店長やマネージャーは見ているモノです。スケジュールを立てる時にそれなりの対応をしているモノです。それでもその高時給の仕事を手に入れたとしてもそれなりに労働時間を稼げないと給料に反映されません。同じ職場で同じ高時給だとしても1週間に1日しか働けないスタッフと3日働けるスタッフ、5日働けるスタッフとでは受け取れる給料にすごい差が出ます。
また仕事中の怪我であれば労災が降りるでしょうが、そうでない時に怪我をすれば病院代や診察代、薬代は自腹です。病院代、診察代に薬代も高いんです。思っている以上の出費になります。
高時給の仕事を見つけて手にしたとしてもそれなりの労働時間を貰えないとただ疲れるだけです。
物価も上がっている!
時給が上がるだけであれば働く側からすれば嬉しい事ですが、それ以上に物価も上がっているんです。
ガソリン代も1リットル2ドル(1ドル=90円として180円)ぐらいが続いていますし、野菜も数ヶ月前ほど爆上がりはしていませんがそれでもコロナ前より高いです。レストランに2人で食べに行ってもちょっと飲めば150ドル前後(1ドル=90円として13500円)掛かります。
何もかもが高いんです。そして告知なしでどんどん上がります。
1年前はまだ普通に買えたものが昨日まで気にしてぎりぎり買え、今日になると買うのをためらわなければならない感じです。
なので思っている以上に生活するだけでお金が掛かるんです。
仕事は有る!
スタッフの数を少なくしたりオンラインオーダーを使っていても仕事はあります。いまだに飲食業界のみならず、どの業種も職種も普通に人手不足です。
シドニーローカルサイトでもこれだけ求人募集が出ています。
思っているより稼げない。
有名サイトでもシドニーの高時給は記事になっていたのを知っています。確かにひと月で日本では稼げないような収入を得ることもできるでしょうし貯金も出来ると思います。
高時給ですから。
だけどそれもその人次第です。生活もあります。アクシデントもあります。高時給だからとて誰もが思っている以上に稼ぐことが出来れば困りません。


まとめ
高時給だからいって誰でもそれなり以上の収入が得れるわけではないのです。
高時給の仕事を得てもしっかり労働時間を確保できていなければ思っているより収入を得ることが難しいのです。
生活をします。お金を使います。その物価は思っている以上に高いんです。
そうなると収支のバランスが崩れていきます。
出稼ぎ感覚で来て都合よく稼げれば誰も苦労しません。
どんな仕事も人手不足ですし、高時給でなくともそれなりの時給はあります。
高時給であまり仕事に入れないよりも、それなりの時給でしっかり仕事が出来る方が手に入れることが出来る金額と残るものは大きいのではないかと思います。
高時給で負担が多い仕事をして体を壊したり、心を壊して病院に行く羽目になれば診察代や薬代といった余計な出費がかさみます。
そうなると貯めたくてシドニーまで来たのに出費が多くなれば本末転倒です。
仕事はあります。
高時給に惑わされないで。