こんばんは、シドニーマンです。
新型コロナウイルスは収まっているのですがシドニー飲食業界の人手不足はまだまだ続きそうです。
この人手不足、私の知り合いの多くは同業者。つまりレストランで勤めているので皆同じように大変な思いをしています。
この人手不足は年内は続くのではないかと言うのが私を含めレストラン関係者の大まかな意見のようです。
なぜ人手不足が続いているのか?
オーストラリアは2022年2月21日(月曜日)にボーダー(国境)を開けています。その日以降多くの新規入国者がいるにもかかわらず現在に至るまで人手不足が続いています。
それは何故か?
それにはワーキングホリデーのビザ延長のルールがカギとなっています。
ワーキングホリデービザは通常1年ですが、ある条件を満たすことにより期限をもう1年のばすことが出来るのです。(2年目のワーキングホリデーなのでセカンドと呼ばれています。)それは移民局が指定したファームに88日以上勤めることです。しかし長引くオーストラリア全土での人手不足のため、このルールが今変わっています。人手不足はオーストラリア全土における問題です。どの業種も人手不足です。そのため白羽の矢が立ったのがこのワーキングホリデーです。
今はファームでなくとも移民局指定の場所にあるホスピタリティー業界、つまりレストランやカフェで88日以上働くとセカンドビザを取得できるようになったのです。
期間は同じく88日間ですが同じ働くにしてもシドニーで働くよりもその移民局が指定している場所で働けば自然にセカンドワーキングホリデービザ、つまりもう1年オーストラリアに合法的に滞在できる権利を取得できるので皆さんそちらに行っているようです。おかげでシドニーではワーキングホリデーの人達をあまり見かけません。シドニーで同じ業種で働いてもセカンドワーキングホリデービザを取得できません。どうせ働くならセカンドワーキングホリデービザの権利を取得できてもう1年オーストラリアに滞在できる方が良いに決まってます。
彼らがシドニーに戻ってくるとしても88日勤務以降でないと彼らが戻ってこないのです。
つまり、
移民局指定の場所に行き1週間5日働いたとします。
ひと月は4週間として20日働いたことになります。
となると4ヶ月経つと80日勤務したことになります。まだあと8日勤務足りません。
つまり4.5ヶ月は掛かるのです。その間、週5で働けなかったり、体調不良で休んだりと何かが起こるわけです。そうなるとその場所にいる期間がさらに伸びます。
例えば、6月に移民局指定の場所に行きそこでレストランもしくはカフェで働きシドニーに帰ってくるとしても早くて10月下旬頃ではないかと考えられます。
それでもそこまでしてワーキングホリデーの人達がシドニーに帰って来なければならない理由があるかどうか?それはワーキングホリデービザを取得している人達の個人的な部分になります。家賃の高いシドニーに来るよりも仕事もあり家賃も安く生活しやすいそちらを選ぶ人たちも居るはずです。となると一体どれだけのワーキングホリデーの人達がシドニーに来るのか?大変期待が持ちにくい状況なのです。
なので冒頭にあった年内は人手不足が続くであろうと私を含む同業者の見解なのです。
どんな取り組みをしている?
ではこのシドニーの人手不足の中レストランはどのような取り組みをしているのでしょうか。
メニューを絞る
人手不足です。コロナ前と同じメニューで営業を行えば無理が多々ありますし歪みも出てきます。円滑なお店の営業ができません。特にキッチンで働いているシェフやスタッフにかかる負担は計り知れません。コロナ前であれば営業を行いながら仕込みや準備を行っていましたが今は人手不足です。以前の様には出来ません。営業が終わってから仕込みや次の日の準備をしていきます。ただそれが毎日の事です。毎日帰宅が午前様になるのであれば人がモチマセン。限度があります。そのため多くのレストランはメニューを絞っています。中にはおまかせコース(omakase)だけにしているところもあります。
ちなみにこちらのがおまかせコースで人気の日本食レストランです。

売り切れ
仕込みが追いつかない時は敢えて売り切れ状態にしているところもあります。
もちろん人気商品や売れ筋所の仕込みが追いつかない時はやらなければなりませんがそうではないメニューの仕込みが追いつかない時はこの方法をとっているところがあります。
値段を上げる
人手不足の上に物資高のシドニーです。
何もかもが高いんです。2022年9月に入り物価高は緩やかになりましたがそれでも下がる気配がありません。,
もうほとんどの飲食店のメニューはコロナ前と違い値上げされています。
Ryotei ねぎ味噌とんこつラーメン 私が訪れた時は$16.00でしたが今は$17.00になっております。
そのRyoteiのサイトはこちらです。
予約制にする
レストランの大きさにかかわらず予約制にしているレストランが多いです。予約の為、何時に何人来る。どこの席に座ってもらう。などが前からわかっているためスタッフが少なくても対応しやすいです。席数が少ないレストランであれば行き届いたサービスができるようになり、席数が多いレストランや広いレストランであっても予約制によってお客様をコントロールしやすくなるからです。
予約制のメリット
予約制のメリットについて、前もってその日に来店するお客様の数が分かるのでその日のお店の流れがわかりやすい。キッチンの仕込みもしやすくなります。スタッフが足りない日で人手不足の状態だとしても予約をコントロールし、お客様の入店時間をずらせることが出来できます。予約が入っても今や予約もオンラインで受けるケースが多いので調整しやすいです。その日例えばスタッフが少ないのであれば予約を少なくし負担を少なくするような形にしたりスタッフがいる日であれば予約も多く取るといった形で予約の数をコントロールしていきます。
この予約制によってキッチンも仕込みをしやすくなるのは確かです。予約を取らない場合であれば、毎日どれだけのお客さんが来るか分からないのでついつい余分に仕込みをしがちですが、予約によってその日来店してくるお客様の数が大体わかることになります。分かっていれば仕込みをしやすくなるものです。
予約制のデメリット
では予約制でのデメリットはどんなことがあるのか。
予約していないお客様を受け入れにくくなることです。
シドニーにある多くのレストランはコロナ前であれば予約を受けるにしても予約でガッチリ埋めません。幾分かは席を開けておき予期せぬ何かがあっても対応出来るようにしています。それが人手不足です。予約をしていないお客様がご来店してくれたとしても断られるケースがあります。

予約を取らないレストランの対応
すべてのレストランが予約を取ってるわけではありません。予約を取らないレストランも当然あります。予約を取らないレストランの対応はどんなことをしているのでしょうか?
入り口にウェイティングリストを設置
入り口にウェイティングリストを設置しそれを管理するスタッフを置いています。そのスタッフが中の状況を見ながらそれに合わせてお客様を店内に誘導しています。
なので平日からでも予約を受け付けていないレストランの入り口には多くの待っているお客様がいたりします。
以前と変わらぬ対応
すべてのレストランが人手不足に嘆いているわけではありません。中にはスタッフを確保できているレストランもあります。そのレストランはコロナ前と変わらぬ対応をしています。
持ち帰り(Takeaway)に力を入れている
ウーバーイーツ(Uber Eats)やメニューログ(Menulog)といったオンラインでオーダーができ配達してくれる宅配システムはシドニーには多くあります
多くのレストランはそういったオンライン宅配オーダーシステムを利用しています。
シドニーにあるオンラインオーダーシステム
シドニーには多くのオンライン宅配サービスがあります。
Ubereats

Menulog
deliveroo

Doordash
オンラインでオーダーを受けるのですが、これが思っている以上にオーダーが入ります。私が働いているレストランでも1社利用していますが、1社だけで充分です。人手不足を充分カバーしてくれています。このオンライン宅配サービスのおかげでコロナ前と同じもしくはそれよりもちょっと売り上げが多い位です。
数社提携していればコロナ前よりも売り上げが多くなる場合が出てきます。
私達家族が訪れたチャッツウッドにあるレストラン、ニュー上海(New Shanghai)はこのオンライン宅配サービス業者5社と提携しておりました。

まとめ
シドニー飲食業界での人手不足はコロナ前との大きな違いです。
この人手不足も年内は続くであろうと思われています。だからといって多くのレストランは頭を抱えているだけではありません。
そのレストランにあった各々の取り組みをしています。
私が働いているレストランでは、メニューの数をコロナ前より少なくして値上げもし、席数も少し少なくしています。そして宅配サービスを1社と提携しています。
このようにお店に合った形で人手不足に対して取り組んでいます。しかし思ったよりも宅配サービスからオーダーが入ってきますし、席数が少なくなって逆にイートインのお客様からはゆっくり座れて嬉しいとの声を聞いたりと、人手不足だからといって悪いことばかりではありません。
シドニー飲食業界の人手不足はまだまだ落ち着きそうもありません。ですが各レストランでそれぞれの形を作り人手不足に負けぬよう取り組んでいます。