こんばんは、シドニーマンです。
新型コロナウイルスが世界中に蔓延して1年以上経ちました。
ロックダウン、変異ウイルスの登場そしてワクチン接種等、様々な出来事が世界中で起こっています。
オーストラリアも新型コロナウイルスの影響で鎖国中です。
それによりオーストラリア国内求職事情や求人事情も様変わりしました。
今回は、今も現役で日本食レストランに勤務している私自身が新型コロナウイルス発生前と発生後と今を比べて感じたレストラン求人事情をまとめてみました。
新型コロナウイルス発生前

新型コロナウイルス発生前は、世界中からワーキングホリデーや海外留学生がオーストラリアに来豪していました。私が働かせて頂いている日本食レストランも他の日本食レストラン同様、日本から来るワーキングホリデーや留学生を主に採用していました。
日本食レストランが日本人を雇いたがるその大きな理由としては、料理の全てを教えなくても理解してもらえる事と言葉の壁が無く共通言語で仕事が出来るからです。
料理について
日本人で、刺し身と言えばなにか分かります。
鍋料理と言えば、具材やスープの味がお店によって違いますが基本的な部分は同じです。
(中には他の国の方で日本もしくは日本食に興味がある方がいて分かってくれる場合があります。こういった方々は意外にこちらには居ますが当てにしてしまうとまた自分が思っている事と違ってきてしまうので、その辺りの調整が現場では難しいところです。)
ですので日本人には、そのお店での料理の名称、スタイル、料理の提供方法等を教えるだけで何とかなりました。
言葉の壁について
言葉に関しても日本人と話をする場合は共通言語の日本語です。出身地やジェネレーションギャップがあったとしても言葉の壁はそこまでありません。ですのでコミュニケーションをとる場合もさほど難しくありません。
ただしお客様と会話をしたり他の国のスタッフと会話になれば英語です。英語力に関しては、個人差が出ます。
英語で日本食をどう説明する?
日本食をわかっていても、その料理を英語でどう説明するか?
この部分がなかなか大変です。
ですが各現場でマニュアルを作成していれば日本人には形にはなったものです。
例えば、
サーモン刺し身であれば、Salmon Sashimi。
鍋料理であれば、Hot Pot。
といった感じです。一度マニュアルを作って、それを丸覚えしまえばしまえば難しい事はないのです。
職場でのマニュアルがある所はそれを活用し英語が苦手なスタッフでも接客ができる様にトレーニングして形になりますし、日本人は意外となんとかなっていました。
即戦力に早い段階でなってくれる。
これらの理由からシドニーにある多くの日本食レストランでは日本人を採用したがりました。
新型コロナウイルス発生後

新型コロナウイルスが2019年12月頃から発生し2020年3月下旬には、シドニーはロックダウンをしました。私が働かせて頂いているレストランも約ひと月程閉めました。(その間給料はありませんでした。)2020年4月下旬頃に新たな規制(Jobkeeper,Jobseeker、ソーシャルディスタンス等)が出来、レストランも持ち帰り主体のスタイルで営業再開出来る様になったのを覚えています。
ワーキングホリデービザの方々と海外留学生はオーストラリア政府から何も保証がない状態でした。オーストラリア政府が出した政策のJob keeperやJob Seekerは、オーストラリア人か永住者に適応するモノでした。ですので帰国するほうが賢い選択でした。
2019年以前に来豪していたワーキングホリデービザの方々はビザの期間の関係上この頃から帰国していきました。2019年後半以降に来豪したワーキングホリデーの方々は2020年中旬頃までには、結構な数が帰国していきました。
このような状況では以前と同じ採用基準ではスタッフを採用、確保出来ません。
今まで採用しなかった人たちに目を向けないと人材確保が難しいことに気が付き始めました。
その今まで採用しなかった人たちとは、
大学生たちです。
彼ら、彼女たちはこちらで育っているため、基準がオーストラリアです。
私の様な永住者は、それなりの年齢まで自分の国(私の場合は日本)で生まれ、育ち、社会に出ていろいろなものを経験しこちらに移住しています。ですが、彼ら彼女らはシドニーで育っているため、その基準が違いすぎます。
一緒に働くのであれば、まずそれらを理解しないと働けませんでした。
何をするにもよく見て、
”なぜ、彼らはあのような仕事ぶりなのか?”、
”なぜ彼女たちは考え方、行動が違うのか?”
勿論ジェネレーションギャップはありますが、新型コロナウイルス発生前まで、彼ら彼女らと同世代の日本人に接していた私からすれば、不思議な事や衝撃的な事ばかりでした。
そして彼ら彼女らは親元に居ます。ですので生活にもそれほど困っていません。
海外留学生やワーキングホリデーの方々は、親元を離れて生活しています。ですのでバイトの収入がとても大事で生活に直結します。バイトの労働時間が少なかったり、シフト数が無かったりすると大変です。その分ハングリー精神があったのかと今振り返れば思います。
親元にいて余裕がある若い世代。
私としてはかなり手ごわい相手でした。
それでも上手く使わなければ仕事になりません。私も勉強しました。
この時期はワーキングホリデーの方々は少なくはなっていますが、海外留学生もまだこちらに居たので、ワーキングホリデー、海外留学生、そして大学生と職場は混ざっている状態でした。
まだ大丈夫だった時期です。
2021年になり

今年に入り、ほとんどのワーキングホリデーの方々は帰国しています。
2020年3月頃、シドニーロックダウン直前に入国出来たワーキングホリデーの方々もビザを延長するためにはファームに行かなければなりません。ですが、そのファームも人手不足。一人当たりにかかってくる仕事量が以前とは違います。
*ワーキングホリデービザは基本入国してから1年です。2年目、3年目と延長するためには、決められた期間ファームに行ってファーム業務を行い手続きを済ませないといけません。
いくらビザを延ばすために行わなければならないファーム業務も人材不足の為、以前に比べて日々ファーム業務は過酷になりすぎています。
ビザを延長するためだけにそこまでしてファームに行くのでしょうか?
先が見えていない今、2年目、3年目のワーキングホリデービザを取得しようとする者はかなり少ないです。
1年、2年とビザが延びたところで現状維持しか見えていない状態。どちらかと言えば今後の生活は厳しくなるのを肌で感じているはずです。そんな中、自分の人生をかけてまでワーキングホリデーの期間を延ばす人は少ないです。
結果皆さん帰国していきました。
そして海外留学生の皆さん。
2020年は授業もオンラインで行われていましたが現状は学校に通学でき通常授業を受けることが出来ます。学校によってはまだオンライン授業であったり対面授業であったりしますが。
ですが、新型コロナウイルス発生から1年以上の時間が経過しています。中には自分が取得したコースが終了し帰国したり、サティフィケイト(学業終了書)を受け取って次のステップに進んだ人たちも数多くいます。
こうなってしまっては、ワーキングホリデーの方々や海外留学生の絶対数が激減です。
ファーム業界もレストラン業界もですがオーストラリアの各業界、ワーキングホリデーと海外留学生の労働力ありきで色々なものが成り立っています。
結果、私たちレストランの現場にいる人間としては、人材確保のため、さらなる未開拓ゾーンへ踏み込みました。
それは、
合わない人たちと仕事をすること
です。
どの職場にも、どんな仕事にも今の時代は合う、合わないがとても大事な事柄です。
私は今もシドニーにある日本食レストランに勤務しています。
日本に居る時から飲食業界に従事していましたので、経験上このタイプは飲食業界には合う、合わないなどは分かります。
どういった人がレストラン勤務には合わない?
レストランで働くことに合わない人たちとは?
急ぐことに慣れていない人たちです。
レストランは曜日や時間帯によってはとても静かだったりメチャクチャ忙しかったりします。
なので、レストラン内が忙しくなりだしたら自分でスイッチを入れられる人でないと合いません。
忙しい状況でもお構いなしにお客様とお喋りをして盛り上がったり(オーナーが接客している場合はどうしようもないですが。)、洗い場に行けば(逃げ込めば)仕事をしているように見せれる等の考えを持って仕事をしては、仕事になりませんし、他のスタッフにも悪影響が出ます。
ですが、今現在のシドニー飲食業界はそれどころではありません。
いや、飲食業界だけではないと思います。
どう見ても合わない子たちを採用し育てていかなければならないのが現状なのです。
このどう見ても合わない子たちは、このコロナ過の人手不足の中で仕事が長続きしなかったり、仕事に就けなかった人たちでもあるのです。
面接を行い本人と話をし履歴書を拝見しますが、飲食業界に合わないであろうと思われる人たちのほとんどが2020年以降はどの職場も勤務期間が短いのです。(そりゃそうです。合わないのですから)
この子たちに共通することは、自分の世界があり、自分のルールを持っていることです。
そして、この状態の中でも自分の都合の身を押し付けてくる子たちもまだたくさんいます。
Dine & Discover Voucher
このバウチャーはニューサウスウェールズ州政府が新型コロナウイルスの影響からの経済支援の一環として政策です。
この政策はうまく機能していると思います。
私が働かせて頂いているレストランにも連日このバウチャーを持って来店してくれるお客様は数多いです。
そこまでは良いのですが、そのおかげでスタッフを余分に雇わなくてはいけない状態なのです。
人件費が余計にかかってしまいます。
これはこれで経営を圧迫することになります。

総括
2021年に入り、飲食業界のみならず各業界は人材不足の為、悲鳴を上げています。
どうやって、この合わない人たちと仕事をしていくか?
当面の課題であり、全く笑えない状態です。
初めから無理だと思う人や合わない人達を採用せざるを得ない状況の中、採用しても長続きしないとかで、
毎日来てくれる配達業者の方達も人手不足を嘆いています。
レストランの営業も本来ならスタッフ5人で済むところが合わない人達が居ると6人、もしくは7人で仕事をしていかなければなりません。
雇用は増えてよいかもしれませんが、その分人件費も増えます。
今はよいかもしれませんが、この状態が続くと経営的にはとても厳しくなります。
余計なスタッフを抱えての営業。日々余分な人件費がかかっての経営。
半年後、どうなっているのやら。。。
このような状況が今のシドニーだと思ってください。