こんにちは、シドニーマンです。
毎年4月25日はアンザックデー(ANZAC Day)、祝日です。新型コロナウイルスが世界中に猛威を奮っていても祝日はこなされていくシドニーからです。
アンザックデーANZAC DAY とは?
毎年4月25日はオーストラリア全州で定められている祝日、アンザック・デイ(ANZAC DAY)になります。2020年の場合、土曜日になります。いわゆるロングウイークエンドです。
アンザックデー Anzac Day 歴史
1915年4月25日、第一次世界大戦中にオーストラリア・ニュージーランド合同軍(Australian and New Zealand Army Corps)がトルコのガリポリ半島に上陸したことを記念して制定した日のことを言います。この合同軍の英語表記の頭文字をとったものが『ANZAC』となり、オーストラリアでは浸透しております。
1901年にオーストラリアはイギリスから独立しましたが、他の植民地に比べると抑圧されたかたちではなく、イギリスから多くの人がオーストラリアへ移民、開拓と言う形での植民地化でした。そのためイギリスから独立した後でも、長年オーストラリアに住む人々の間では、オーストラリアはイギリスの一部であるという意識が強かったと言われています。
そして、独立して13年しか経っていない1914年、第一次世界大戦が勃発しました。
ドイツ帝国が8月1日にロシアに対して宣戦布告、8月3日にフランスに対して宣戦布告をしました。それに対抗して、イギリスは8月4日にドイツ帝国に宣戦布告を行いました。このイギリスがドイツ帝国に行った宣戦布告に対して、当時のオーストラリアの首相ジョセフ・クック(Joseph Cook)が、「祖国が戦うなら我々も(”If the Old Country is at war, so are we”)」と宣言したため、第一次世界大戦に参戦することになりました。また、ジョセフ・クック首相が「我々の義務は明らか。腰を固め、我々が英国人であることを思い出そう」と発言をしたとも記録に残っております。これらの首相の発言から見ても、当時のオーストラリアはずいぶんイギリス寄りだったと伺えます。
オーストラリアはこの第一次世界大戦の為、イギリス連邦軍と共に戦える志願兵を国中から募りました。オーストラリア国内での訓練を終えるとニュージーランド兵とともに中東へ派遣されました。このオーストラリア、ニュージーランド合同軍(Australian and New Zealand Army Corps)の頭文字をとって、アンザック(ANZAC)と言い、彼らはこの戦いに加わることになるのです。
翌年1915年4月25日、アンザック兵はイギリス兵、フランス兵と共にトルコのダーダネルス海峡北岸のガリポリ半島に展開するトルコ軍戦線を突破するため上陸攻撃を果たします。しかし丘の上で待ち構えていたトルコ軍の攻撃に合ってしまいます。このとき、3万3千人以上の戦死者(うち、約4分の1がオーストラリア兵)を出し作戦は失敗に終わります。しかし、この悲劇の戦いが、オーストラリアを完全に一つの国『オーストラリア』としてイギリスから独立するためのきっかけになったとも言われております。
シドニー、アンザックデー Anzac Day 式典の様子
では、シドニーではどのような式典が行われるのでしょうか?
午前4時15分に開始されるドーンサービス Dawn Service.この時間は、当時トルコのガリポリに上陸開始した現地時間に合わせております。
ドーンサービス Dawn Serviceとは?
ドーンサービス Dawn Serviceとは、夜明け(Dawn)とともに戦没したディガー達(Diggers)に祈りを捧げる慣例の事です。1927年にシドニーで初めてドーンサービスが正式に行われるようになったと言われております。当初ドーンサービスは簡単なものでしたが、今では黙祷、ライフルの発砲、国歌などが加わるようになり、しっかりしたセレモニーです。
*Diggerとは、オーストラリア兵、ニュージーランド兵のスラングでの呼び名です。
その後マーティンプレイスからエリザベスストリートを通りハイドパークのアンザックメモリアルまで行く行進を行います。
午後12時30分からは、ANZACメモリアルの記念サービス。
午後5時からマーティンプレイスにてサンセットサービス。短めの式とこの日に亡くなられた戦士の方々を祈ってバンド演奏があります。
この日は、オーストラリア国防軍の制服を着用するか、サービスメダルを表示する。(ちなみに、メダルを左胸に付けているのが当事者で、右胸に付けているのが家族などの代理の人です。)RSLまたはその他の公認の元サービス組織の支部の認定書を携帯するか、戦争未亡人のゴールドカードを提示できるオーストラリア国防軍のメンバーおよび元メンバー、そして配偶者、子供、孫、戦争退役軍人、その家族等は公共交通機関はすべて無料になります。



まとめ
オーストラリアにとって戦争記念日のように捉えられている一日が、このアンザック・デー Anzac Dayです。
基本的に親日家の多いオージーですが、「この日だけは別」と考えている人たちが多いのも事実です。戦争を体験した高齢者にとっては「かつて日本は敵だった」という思いが残っているからです。この日は無難に過ごしましょう。事実、数年前までシドニーでも、オージーの若者が日本人に生卵を投げつけるという事件が意外と多く起きていました。
通常なら毎年4月25日にはオーストラリア各地で、ドーンサービス、行進、花輪の贈呈、そして演説などが行われます。ですが、今年は新型コロナウイルスの影響で日常はどこかに行ってしまいました。このセレモニーは今年は行いません。ありません。
ウイルスと違い武力は分かりやすいです。皆さん、戦争のない平和な世界を願いましょう。